畳表(たたみおもて)
畳表とは、お客様が一番目にして触れる部分、つまり畳の『ゴザ』の部分です。
昔の畳表は国産イ草だけでしたが、数十年前より中国産のイ草が出始め、近年では和紙や石油系素材で作られた物も出てきました。
仕入れの際にはひときわ気を使う素材でもあります。
畳表が出来る工程はコチラをクリック→熊本県産畳表の生産工程
天然イ草
主に国産と中国産に分類されます。
今では、畳表市場の約20%が国内産、約65%が中国産、言われております。残りの約15%は建材系の畳表です。
一畳の畳表には約4000本から7000本のイ草が使われ、一般的に上級品になるほど長く成長したイ草を使い、使用する本数も多くなります。
一概に言えませんが、お客様が畳表の良し悪しを判断される場合は、
畳表のイ草の長さと経糸をみて判断されると良いかと思われます。
経糸は大まかに『綿糸』 『麻』 『麻と綿の二本芯』 『麻の二本芯』 に分類され、一般的に 綿→麻→麻綿→麻二本 の順に良い物になると言われています。
経糸が『綿糸』で出来ています。イ草の本数も少なく、
一般的には普及品的な品物です。
経糸が『麻』で出来ています。
1つの経糸が『麻と綿糸』で構成されています。
1つの経糸が『麻二本』で構成されています。
畳表は上級品になるほど、
使用するイ草は、長く実入りの良い上質なものになり
イ草は密に織り込まれ、見た目も耐久性も素晴らしいものとなります。
中国産と国産の違い
- 見た目
- 畳業界以外の人はほとんど見分けがつかないと思います。(畳屋さんでも分からない人がいるかも)
- 耐久性
- 昔は格段の差がありました。(もちろん国産の方が良いです) 最近は中国産でも良い物も出てきました。
- 価格
- 同じような見た目の物なら、中国産の方が格段に安いです。
『見た目に変わらず、耐久性も使い方で変わる』
それなら値段の安い中国産を選びたくなりますよね?
でも、目に見えない所に注目すると・・・
決してそうは言いきれません。
残留農薬などの事を考えると、
やはり少し価格は高くても国産畳表の使用をお勧め致します。
なお、当店では前記の説明を聞いて頂き、
お客様に畳表の現物見本を見て頂いた上でお見積もりをさせて頂くようにしております。
染土について
畳表には染土と呼ばれる土が付いております。
イ草は田んぼのような所で育てられ刈り取られたのち乾燥させますが、乾燥の前に泥水に浸けてイ草の表面を泥で覆うのです。
そうすることで乾燥時に水分を均一に抜けるようにし、イ草の表皮の強度を高め、同時に葉緑素の酸化を防いでイ草の色を青く新鮮に保ちます。
さらにイ草特有の香りも泥染めしないと出ないと言われます。
当店では製造の途中で極力この染土を取り除いてからお客様のもとへ製品をお届け致しております
固く固く絞ったタオルで拭くとこの通り。当店では掃除機がけ二回、絞ったタオルで二回、乾拭き二回をしてからお客様の元へ製品をお届けいたします。
イ草の種類、品種
イ草の産地は国内では熊本、福岡、広島、岡山など。
生産量は熊本県が一番。
広島県産は備後表と言われ最高級品とされております。
イ草は良いものほど、時が経つほどに光沢が増し黄金色に日焼けするといわれています。
熊本JAブランド畳表、ひのみどりを使った
『ひのさやか』 『ひのさくら』 『ひのさらさ』
細くて美しいのが特徴。
写真右は最高級の『ひのさらさ』です。
他にも『夕凪』 『ひのはるか』 などがあります。
当店では、よく使うお部屋には昔からある『在来種』と『夕凪』を。
普段あまり使わずお客様をおもてなしするお部屋には
『ひのはるか』や『ひのみどり』系の畳表をお勧めいたします。
左の写真は広島県産 【 備後表 】。
畳業界では、最高級品として取引されておりますが、現在は入手するのが非常に困難な状況で有ります。
右の写真は市松表。他の人とはチョット違ったものを、とお考えの方にお勧めいたします。
和紙表
和紙をこより状にして表面に樹脂加工したものです。
非常に強く、お部屋でペットを飼われてる方には特におすすめです。
またイ草と比べるとカビが発生しにくく管理がしやすいので
普段あまり使わないお部屋にも向いております。
さまざまなカラーがひと味違う和空間を演出します。
リュウビン表
主に床の間の畳に使います。
青い方が良い物と思いきや、
実は日に焼けたように見える写真左側の方が高級品なのです。
七島表
別名『青表』『琉球表』。
普通のイ草とは全く違います。ものすごく丈夫です
一般の人が良く言われる琉球畳(縁なし畳)は、
本来この畳表を使用しておりました。
縁なし畳の弱点である角の弱さ克服するのに十分なコシと粘りが有り、
普通のイ草とは別物の耐久性があります。
独特の風合いがあり、使えば使うほどにその良さが分かっていただけると思います。
メセキ表
縁無し畳を作る為に作られたような畳表。
普通の畳より経糸の間隔が狭く、谷目が細かく見えます。
畳縁(たたみべり)
畳の中で個性を出せる数少ない素材です。
畳縁を付ける事でお部屋にいろどりを与えるだけでなく、畳の角の補強にもなります。
畳替えの際、上の写真の見本の中より無料で選んでいただけます
当店見本にお好みの畳縁がない場合は、別料金にて数百種類の中よりお選びいただくことも出来ます。
( また、縁見本の内容は変わることもあります。予めご了承下さい )
特殊な畳縁 ↓こちらは別途料金になります
写真左は紋縁、右は繧繝縁(うんげんべり)です。
主にお寺や神社の畳に使います。
施工時は紋が合うようにとても気を使います。
写真左は、お寺の紋縁(白中紋と呼ばれる縁です)
写真右は、床の間の床畳(金七宝と呼ばれる縁です)
上の写真の様に、畳縁の図柄を合わせる事も出来ますよ。(要別途料金)
畳床(たたみどこ)
畳の構造上、普段は見えていないのですが一番重要な部分。 昔はワラの畳床しか有りませんでしたが、近年それに代わる建材畳床が出てきて、
今では建材畳床が主流となっています。
また介護施設や温泉などで使える丸洗いの出来る畳床や、ヒノキのチップを使って出来ている畳床もあります。
畳床の種類
建材畳床
建材Ⅱ型。
上部が15ミリ厚の畳床専用ダイケン畳ボード、下部がスタイロフォームの二層構造。裏面には畳シートが付いております。
上部の白いクッションはオプションになります。
ちなみにJIS指定の建材Ⅱ型は上部が25ミリの建材ボードです。
建材Ⅲ型。
上部が15ミリ厚の畳床専用ダイケン畳ボード、中部がスタイロフォーム、
下部が10ミリの畳床専用ダイケン畳ボード。下部にも建材ボードを入れることにより糸締りが良く、表替えの際に湿気などにより裏面の畳シートが腐食していても縫着の糸をかける事が出来ます。
建材オールボード。
すべて畳床専用ダイケン畳ボードを使用しています。
畳床のヘタリも少なく、仕上がりもバツグンです。
当店では安価でヘタリやすい、軽量畳ボードは使用しておりません。
稲わら系畳床
稲わらサンド畳床。
ワラとワラの間にポリスチレンフォーム板を挟んだ物。 ワラばかりの畳床よりも軽量です。間にポリスチレンフォームを挟むことで 断熱性にも富んでます。
ワラの畳床の代用品として使用されることが多いです。
稲わらボード畳床。
ワラとワラの間に建材畳ボードを入れたもの。
同じ条件で使用するならポリスチレンフォーム板よりもヘタリが少ないです。
こちらもワラ床の代用品として使われます。
稲わら畳床。
昔は普及品から高級品までいろいろ有り、職人さんもたくさんいました。
しかし、建材畳床が主流の現在では、仕入れ先を探すのも大変になってきました。
高級品になると、その足ざわり、耐久性、独特の質感はどれもすばらしく、
今でも『必ず稲わら畳床で』と指定されるお客様もおられます。
その他
ヒノキ床
国産ひのきチップ(ひのきウッドウール)から出来ております。
少しお値段は高いですが、
独特のさわやかな香りと、ワラの畳のような足触りの良さが特徴です。
その他にも、介護施設や温泉に使う『洗える畳』の畳床など
様々な畳床があります。
市場に出回っている畳床ならほとんど入手可能ですので、
ここに載せていない畳床で気になった物があればお問合せ下さい。